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専務/常務の違い

誰しも一度は疑問に思う「専務」と「常務」の違い。実はわからなくて当然なんです。なぜなら厳密な違いは会社によって異なるからです。

専務も常務も法的根拠がない

会社は「会社法」に従い組織されます。取締役や監査役、会計参与などの役員も同法に基づき設置されます。そのため、どこの会社であっても、これらの役員が担う基本的な役割は同じです。

しかし、会社法においては、役割としての専務や常務については、定められていません。つまり、専務や常務の定義や役割は会社ごとに異なります

おおまかな傾向

会社ごとに異なるとはいえ、実際にはおおまかな傾向があります。

まず、それぞれ取締役であることを前提にすると(専務取締役、常務取締役)、いずれも社長を補佐するポジションになります。そのうえで、次のように区別されることが多いです。

  • 専務:経営上の意思決定にかかわり、社長不在時の代理になることも。
  • 常務:会社の日常的な通常業務の管理監督を行う。

また、この違いが表すように、役位でいうと専務の方が常務より上位(偉い)であることが多いです。

専務 > 常務

常務の基本的な意味は日常業務

実は、「会社法」においても「常務」という言葉は登場します。ただ、それはあくまで日常業務という意味で使われます。

民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。(会社法352条より)

このとおり、常務の原義は日常的な業務であり、経営的な側面よりも、業務的な側面の方が濃いです。

このことからも、常務はより業務側に位置していると考えるのが妥当でしょう。

専務取締役と常務取締役の英訳例

専務取締役と常務取締役を英語で表現する場合、その職責からmanaging directorの訳語が考えられます。ただ、どちらもmanaging directorでは区別がつかないので、役位の上下で訳し分けます。

つまり、役位が上である方(通常は専務取締役)をsenior managing director、役位が下の方(通常は常務取締役)をただのmanaging directorとすることで、うまくおさまります。

あくまで一例ですので、英訳時の参考程度にお考えください。

その他役職の英訳については 役職/肩書を英語で表現するには をご覧ください。

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